クレジットカードは非常に便利なアイテムであり、現代社会で生活するうえでは欠かせないものであることについて、異論がある方はおられないと思います。
しかし残念なことに、生活保護受給者の方はクレジットカードをつくることができません。
ただ、クレジットカードがつくれない場合の代替案がないわけではありません。
今回は、クレジットカードの代替手段ともいえるデビットカードの特徴や、生活保護から抜け出した後にクレジットカードに申込む場合の注意点などについて、説明していきたいと思います。
冒頭でも触れたとおり、生活保護受給者の方はクレジットカードを発行できません。
なぜなら、生活保護受給者の方はクレジットカードの申込み条件を満たせないからです。
クレジットカードの申込み条件を確認してみると、「安定継続した収入があること」という条件が設けられていることがわかりますが、生活保護を受けている以上、もちろん安定した収入はありません。
「生活保護という収入があるのでは?」と思われるかもしれませんが、国からの援助である生活保護は、安定した収入とはみなしてもらえないのです。
クレジットカードの申込みができない以上、クレジットカードを発行してもらえる可能性はゼロです。
生活保護受給者の方はクレジットカードは発行できませんが、デビットカードであれば発行可能です。
デビットカードは金融機関の口座に紐づけられて発行されるカードで、審査なしで発行できるカードもあるので生活保護受給者の方でも問題ありません。
クレジットカードとほぼ同じような形で利用できるので、クレジットカードが発行できない場合の代替手段として役立ちます。
クレジットカードは支払いに利用することで、カード独自のポイントや航空会社のマイルを貯めることができますが、それはデビットカードでも同じです。
クレジットカードとは異なり、ポイントやマイルの還元率に特化したカードはないものの、お得に買い物ができるのはうれしいですね。
ただし、クレジットカードでは旅行傷害保険などの付帯サービスを利用できることが多いですが、デビットカードで利用できる付帯サービスはほとんどありません。
デビットカードが審査なしで発行できる理由は、その決済方法にあります。
クレジットカードでは、一定期間に決済した金額を引き落とし日にまとめて引き落とすため、「この人は後払いでもきちんと支払いができそうか・支払ってくれそうか」ということを審査しなければなりません。
しかしデビットカードでは、決済をおこなったら紐づいている口座から即座にお金が引き落とされる形式になっており、「支払いができない」という心配がないので審査なしで発行できるのです。
クレジットカードの場合、決済した瞬間にお金が減るわけではないという安心感からついついカードを使ってしまい、後から利用明細書を見て青ざめるという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
デビットカードにはそのような心配がないので、金融機関も発行しやすいですし、利用者も安心して利用できます。
クレジットカードが発行できない生活保護受給者の方にとって、デビットカードは頼りになる存在であることは間違いありません。
ただ、デビットカード利用する場合には以下のようなことに気をつけておく必要があります。
それぞれの注意点について、詳しく説明します。
先ほどお伝えしたとおり、デビットカードは決済すると口座から即時にお金が引き落とされます。
そのため、クレジットカードにあるような分割払いやリボ払いは利用できません。
また、クレジットカードのようにキャッシング枠がついているわけでもないので、キャッシングもおこなえません。
クレジットカードと同じような形で利用可能なものの、丸っきり同じというわけではないことには、注意が必要です。
生活保護受給者の方は生活保護法で贅沢品の購入が禁じられており、違反すると生活保護の支給を止められてしまう可能性もあります。
そのため、デビットカードを発行したからといって贅沢品を購入してはいけません。
デビットカードで贅沢品を購入したからといって、それがほかの方にわかるような形で記録に残るわけではありません。
しかしケースワーカーの方がお宅を訪問した際に、分不相応な高級品があると目に留まってしまう可能性があります。
デビットカードの明細を見せるよう要求されれば一発でアウトなので、デビットカードは食料品や生活必需品の購入に利用するようにしましょう。
デビットカードで貯めたポイントやマイルは、現金に交換することも可能です。
ただ生活保護受給者の方は、8,000円を超える収入を得た場合は臨時収入として届け出なければならず、得た金額分だけ生活保護で受け取ったお金を返還しなければなりません。
デビットカードでの支払いはポイントやマイルが貯まる分だけ現金での支払いよりもお得なのですが、生活保護を返還することになってしまうのであれば本末転倒です。
現金収入を得たい気持ちは十分わかりますが、ポイントやマイルを現金に交換するのはやめておきましょう。
ポイントやマイルは現金に交換する以外に、景品や提携ポイントに交換したりカードの支払い額に充当したりといった利用方法も可能です。
これらの方法であれば、直接的に現金を得ているわけではないため臨時収入にはあたらず、受け取った生活保護を返還する必要もありません。
貯めたポイントやマイルを無駄にしたくないのであれば、景品への交換やカードの支払い額への充当に利用しましょう。
デビットカードで支払いをおこなっても財布のなかの現金がなくなるわけではないため、「お金を使った」という感覚が生まれにくいです。
しかし紐づいている口座からお金が引き落とされている以上、支払った瞬間にお金は確実に減っています。
お金を使っているという意識の薄さゆえに衝動買いしてしまうことのないように、しっかりと気を引き締めておかなければなりません。
生活保護受給中はクレジットカードの発行はできませんが、生活保護から抜け出した後であればクレジットカードへの申込み自体は可能です。
ただ申込み可能とはいえ、審査に通らなければ意味がありません。
クレジットカードの審査に通過しやすくなるためには、以下のようなポイントに気をつけておく必要があります。
それぞれの注意点について、詳しく説明します。
生活保護から抜け出せたということは、アルバイトやパート・契約社員など何かしらの職に就けているはずです。
ただ、アルバイトやパート・契約社員といった雇用形態は、正社員と比べると審査に不利であることは間違いありません。
「生活保護から抜け出したばかりのうえ、雇用形態がアルバイトなどだったら審査落ちしてしまうのでは…」と不安になる気持ちもわからないでもありませんが、雇用形態は正直に申告しましょう。
カード会社では申込者の属性をきちんと調べますので、虚偽の情報で申告をしたとしても必ずバレてしまい、その時点で審査落ちになってしまいます。
これは雇用形態に限らず、収入などでも同じことがいえます。
雇用形態が正社員ではなくても、収入がそこまで多くなくても、審査には通る可能性がありますが、虚偽の情報で申込みをしてバレてしまえば、審査に通る可能性はゼロです。
クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠のふたつの機能があり、ショッピング枠は必ずついていますが、キャッシング枠をつけるかどうかは申込者が選べます。
ショッピング枠とキャッシング枠では管轄する法律や審査基準が異なるので、両方の機能をつけた場合は2種類の審査を受けなければならず、当然その分だけ審査に通過しにくくなります。
キャッシング枠が便利な機能であることは間違いありませんが、クレジットカードの発行を最優先に考えるのであれば、キャッシング枠を0円にして申込むのがおすすめです。
クレジットカードの審査では「安定した収入」が求められますが、勤続期間が短いとその職場で今後も働き続けるかどうかがわからないため、安定した収入があるかどうかの判断が難しい場合があります。
どれくらいの勤続期間があればOKかについて明確な決まりがあるわけではありませんが、半年程度同じ職場で働いていれば「安定した収入がある」と判断されやすいです。
生活保護を抜け出してからすぐにクレジットカードをつくりたいわけではない場合は、半年程度働いた後にクレジットカードを申込むようにしましょう。
生活保護受給者の方は安定した収入がないためクレジットカードは発行できませんが、審査なしで発行できるデビットカードを代替手段として利用できます。
デビットカードはクレジットカードと同じような感覚で利用できますが、分割払いやリボ払いは使えません。
生活保護の方が使う場合は、贅沢品を購入しない・ポイントやマイルを現金に交換することを避けるといった点にも、気をつけなければなりません。
生活保護から抜け出した後であれば、クレジットカードを発行できる可能性があります。
雇用形態や収入に関して虚偽の申告をしない、キャッシング枠を0円にするといったことに注意して、申込みをおこないましょう。